持ち家や土地を売却するとき、地盤や土壌、境界線や越境に関するトラブルがよく見受けられます。言いかえれば、これらを事前に確認しておくことでトラブルを未然に回避できるわけです。そこで、スムーズな売却を実現するためのポイントをお話ししましょう。
ポイント1 売却する土地の状態を知る
買主様が決まって売買契約を締結するとき、「念のため、地盤調査をお願いしたい」と言われることがあります。この場合、売主様と買主様のどちらが実施するべきなのでしょう。また、地盤調査にかかる費用は売主様が負担するべきなのか、それとも、買主様が負担するのでしょうか。
その答えは「どちらとも言えない」ということになります。なぜなら、明確な規定が存在しないからです。ひとつとしてまったく同じケースは存在しないのが不動産取引ですから、すべてを規定するのは困難。そのため、当事者同士で協議して最善の策を取ってもらうように幅を持たせているわけです。
以前は、買主様が土地を購入したあと、地盤調査を行うのが常でした。地盤の強度や土壌汚染、埋設物の有無や液状化のリスクなどを確認の意味で調査したのち、建築に着工していたのです。
ところが、2010年のある裁判によって流れは大きく変わりました。土地の引き渡し後に地盤の欠陥が発覚し、その土地の買主様が売主様に対して土地改良費用を請求する訴えを起こしたのです。判決は買主様の勝訴となり、売主様は土地改良の費用全額を負担することになりました。この時を境に、「地盤調査は売主様の負担で実施すべきもの」という新しい流れが生まれたわけです。
もちろん、現在でも地盤調査を売主様が売却前に実施する義務は存在しません。しかし最近は、特に大型地震への関心の高さから地盤に対する注目度も高まり、地盤調査への需要も拡大しています。加えて、売主様には売却後も1年間の契約不適合責任があることを忘れてはいけません。※売主様が個人の場合、実務上は契約不適合責任を負う期間は3カ月間の場合が多いです。
地盤は建物を建てる際の重要な要素です。トラブルを避けるためにも、土地の状態や履歴は事前に調べておいたほうがいいでしょう。
ポイント2 土地の境界を明らかにしておく
一般的に土地の売却価格は、土地の面積に平方メートル単価や坪単価を掛け合わせて算出し、その他の要素を加えて決定します。言うまでもなく、土地売却で最も重要なのは取引する土地の正確な面積なわけです。
土地の面積は「不動産登記簿謄本」に記載されています。不動産登記簿謄本は法務局にあり、だれでも閲覧可能です。しかし、これだけでは安心ができません。不動産登記簿謄本に記載されている面積が正確ではないこともあるからです。
ここでひとつの目安となるのが、隣の土地との境界を示す「境界標」です。これがないと、隣地との境界があいまいになっている可能性が大きいと言えます。土地に境界標はしっかり残っていますか?
登記簿謄本の記載に頼って取引を進めた場合、あとになって買主様が隣地との境界をめぐってトラブルになる可能性があります。また、実際の面積との違いから金銭面で揉めることも。このような事態を避けるため、「売主が境界標を設置し境界を明示すること」などと売買契約書に盛り込まれたり、土地の境界を確定した実測面積での契約を求められることが少なくありません。
境界を確定させて実測面積を明らかにするためには「境界確定測量」が必要になります。これは、測量士が測量を実施し、土地家屋調査士が登記するもので、費用は売主様が負担します。売却をスムーズに進めるために欠かせない要素と言えるでしょう。
まとめ
土地の売買には注意すべき点が多いことから、専門家の知見が欠かせません。引渡し段階で問題が発覚し、契約が白紙に戻ってしまうことも。取引を安心して進めるために、事前確認はとても大切です。
調査の必要性を判断しかねる場合は、迷わず信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。安全で確実な売却の実現に向けて、メリットとデメリットを踏まえながら判断してくれるはず。もし不安なことがあれば当社にご相談ください。経験と実績を活かし、売主様がトラブルなく売却を進められるように全力でサポートいたします。